readers' voice

励ましや、おしかりの言葉、ありがとうございます。

他の読者の方々の中にも、同じご意見を持った方がいらっしゃるかも知れません。自分の考えをまとめるための参考になる場合もあります。だから、「読者の声」は大事にしたいと考えています。
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この色は皆さんの声 (お返事なし)

誰がためにデザインはあるか 98.11.1 掲載【その3】

 <匿名さん> 【「物の意味を伝える事」は使う人の立場を考えた物作り】

        「かなりおもしろい」99.5.17

少し前の資料のようですが、最近入会しましたので、遅れ馳せながら、コメントせていただきます。

 私はハンドバッグを始めとする、服飾雑貨を扱う卸業をしております。取り扱い品目が、この記事にあるようなデザイニングで作られた物ではないにしろ、一つ一つの商品が、それぞれの個性を持ったデザインから、成り立っている事は同じだと思います。

こうして説明されると、改めてデザインの重要性というものを感じました。

我々の業界でも、デザインの善し悪しに関係無く、プラダやグッチが新作を出すと、もうそれの類似デザインが、そこらじゅうに出回る、といった業界です。そのなかで、我々は、ブランド品に集まる人たちではなく、自分の個性にあったものを買いたいたい、という人を対象とした商品を提案しております。しかし、それもまた、いろんな個性もありますし、業界のほとんどの人が、ブランド品コピーに向かって物作りをしているような中で、そういう商品を発掘していくのも、至難の技です。それにまた、景気も悪いせいか、素材屋、パーツ屋、など、どこも新しい物を作り出さないんですから、ますますもって、やりにくいなーと感じています。

 しかし、記事の中の、デザインとは、「物の意味を伝える事」ということを、我々に置き直すと、使う人の立場を考えた物作り、という事かと思います。

そのことを忘れず、しかもノイズに負けない物を提供してゆかねばなりませんね。 勉強になりました。

 <井浦さん> 【足元のしっかりした指摘に、頭が刺激されるのが心地よい】

        「????」99.3.13

私事ですが、webサイト構築でADをやっております。
御社のサイト中「わたしはこう見る」で「誰がためにデザインはあるか」を大変興味深く読ませていただきました。(他も全部読ませていただいてます)デザイナーは改善ではなく改革の思考を求められているのだと特に日頃感じていたものでですから、もやもやを大変わかりやすく解いていただいて有り難いです。

足元のしっかりした指摘に、頭が刺激されるのが心地よいですし、これからも楽しみにしております。


【お返事】

>デザイナーは改善ではなく改革の思考を求められているのだと
>特に日頃感じていたものでですから、
>もやもやを大変わかりやすく解いていただいて有り難いです。

本業の方に誉められると大変嬉しいです。
今後ともよろしくお願いいたします。

 <のりこさん> 【収集家による「死蔵」してもらう事】

        「????」99.1.4

【関連の「声」】

<739163さん> 【収集家の「死蔵」が目的では】

明けましておめでとうございます。初めてお便りします。名前を漢字で見ると弁護士かなんかのようですが、違います(笑)。のりこ、とよみます。

アメリカで勉強してて、日本の消費事情に疎くなってきたのが恐かった時期にこのメールマガジンに出会えて本当によかったです。コンピューター、インターネットとE−mailの普及にも感謝してもしきれないほどで、毎回読んでてああ自分はラッキーだな、と思えるほど楽しませてもらってます。大袈裟かしら。でも、もったいなくて他人には教えたくない、といったらぴんと来てもらえるかな。本当においしいお店は、一人占めしたいのと人気のせいで味が落ちるのがいやで秘密にしてる感じ。

さて、739163さんだけではなく、本文の森さんも含めて当てたコメントですが、

>収集家による「死蔵」してもらう事を目的

というところで、消費者の願望より利益をあがるためのデザインがあるらしい、の違う例として、郵便切手を思い出しました。ほら、普通用の切手って、なんでこんなのなの、ていうくらい悲しーデザインじゃないですか。41円やら63円やら。で、技術力やコストがあわないからからではないのは、標準サイズの記念切手をじゃかじゃかだしてることから自明。奇麗な切手が手に入ったら、思わずシートで買ってしまって、その後もったいなくて使えないのは私だけではないですよね。

アメリカはちょっと違ってて、標準32セント切手は常時いくつかのデザインがあって、それプラス Season Greeting用やら記念切手やらがありますので、日本よりはましな気がします。が、私が本当に必要な奇麗な切手は国内用の32セントではなく、エアメール用の50、60セント。留学生はあのお粗末なデザインに我慢できず(海外や実家に出すときは見ばえをよくしようと思う気持ちが強いから)、数セント損しても奇麗な標準切手を二枚はったり20セントと組み合わせて使う、ていうのが多いです。カナダでもそうだったし、ああ、郵便屋さんにまたはめられてるなー、と思いつつ、奇麗な切手をまとめ買いしたり、二枚攻撃をしているわたしです。

需要のあるデザインを定番にしない、ていうのは、多分切手だけじゃないと思います。服でも電化製品でも、すごく売れる商品が全て無限ではないのは、きっと大きかった人気が落ちたときの在庫処分に困ったり、その様子がほかの商品やブランドのイメージ悪化につながるよりは、消費者を耐えず不満にしておいて新商品で購買意欲を刺激したいからなんでしょうね。あと、定番が強い構造にすると、デザイナーがあれこれ試せなかったり職にあぶれたりするのでは。機能の組み合わせでも、完璧な定番(安い、長持ち、使いやすく便利)をずっとのさばらすよりは、わかっていながらいまいち系の品も製造して、人気商品を引き立てたり、プレミアム効果をつけているのでは、と思っています。限定商品のように。この辺はブランド戦略のほかに、産業全体の利益をねらって製造ラインのほうでそういう公式ができあがっているんじゃないか、と思うのですが、いかがでしょう。経済の発展のために、いろんな商品をできるだけ多く、いい値段で売る“最大多数の最大利益”理論が働いている気がしてならないのです。

日本の商品なんて、特にそんな感じが昔からしてました。ドイツやアメリカの定番デザインや商品が多いのに比べ、日本の商品は付加価値と称して小手先の変わったものが続々と登場しては消えていくスピードが速い気がします。技術的に可能な限り完璧な機能の組み合わせで、しかも長持ち、というのを作ったら、日本は強いのに(車とか)、国内ではわざと商品サイクルを短くしてますよね。実家では、父の取引上の関係で、Panasonicの製品で殆どそろえていたときに、常にどの商品にも不満があるよねー、 長く気に入って使ってもらうよりは買わせたいんだよ、Panasonicって、と家族でよく話していたものです。

そう言う私たち日本人消費者の購買パターンや心理が、実は商品内容や品揃えを生み出していることも論じたいのですが(例:車や電化商品をまだ使えるのに買ってしまう)、ここでは玉子かニワトリかの議論になっちゃいますし、とても長いメールなので、ここでやめます。ここで書いたことは自分の勘繰りだけからきてるので、公的な根拠はないのですが、森さんのご意見をいただけたらうれしいです。 そう、むりやりここで私の話を結論づけようとすると、森さんのようにカードの豊富なデザインからくる使いづらさに不満が出るような、質実剛健を求める消費者の心理は、目先だけで「奇麗でしょ、かわいいでしょ、新しいでしょ」のデザインの犠牲だけではなく、産業の利益を求める販売戦略の結果、ということになりました。

この、「きれいでしょ...」の素人っぽい考えは、広告業界や製造関係だけでなく、洗練されてないウェブサイトによくあると思うのですが、これはどう思われますか。森さんがシストラットのサイトで気をつけているように、見易さ(使い勝手)が先行すべきなのに、意味のない配色(しかも見にくい)や余分な機能が多い! 洗練の最高峰は、シンプルでわかりやすく、筋が通ってて(なぜこの配色か、とか)エラーがないことですよね。

今年のますますのご発展をお祈りしつつ、ペン(指?)を置きます。あ、ベストメルマガに一票入れましたから。一番になっても、忙しくても、「私はこう見る」やめないでくださいね。


【お返事】

>のメールマガジンに出会えて本当によかったです。コンピューター、インター
>ネットとE−mailの普及にも感謝してもしきれないほどで、毎回読んでてああ自分

本当に同感です。
私がアメリカにいた頃なんて日本の雑誌すら手に入らず、カリフォルニアで細々と売られている週刊誌が10倍近い価格だったので手が出ない、という状況でした。
良い時代になったものです。

>当においしいお店は、一人占めしたいのと人気のせいで味が落ちるのがいやで秘
>密にしてる感じ。

ありがとうございます。
料理屋さんと違い、読者数によって質が変わることはありませんので、ご安心を (笑)

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>というところで、消費者の願望より利益をあがるためのデザインがあるらしい、
>の違う例として、郵便切手を思い出しました。

そういえば、こういうものの元祖は切手でしたね。
小学生の頃、ちょっと収集したことがあります。

>またはめられてるなー、と思いつつ、奇麗な切手をまとめ買いしたり、二枚攻撃
>をしているわたしです。

そうだったんですか。気がつきませんでした。
まぁ、25年前のバンカラ貧乏学生だった私には、デザインは無縁の世界でしたから、気がつかないのは当然でしたが (笑)

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>需要のあるデザインを定番にしない、ていうのは、多分切手だけじゃないと思い
>ます。

おっしゃりたいことはわかりますが、ファッションと電化製品とでは若干事情が異なると思います。いや、正確にいえば、商品力に占めるデザインの重要度の比率が違うということです。

最近でこそ、素材、肌触りや縫製などデザイン以外の「機能」の比率が高くなったファッションですが、デザインそのものの比率が高いのはご存じのとおりです。このデザインには「見た目がよい、好き」という絶対的基準は当然ありますが、同じデザインを他人が着ているのを街で見かけるのはイヤ、という「希少性」も基本価値として君臨しています。

一時期、DCブランドが華やかだった頃、価格が若干高い理由の1つをメーカーは口を揃えて「同じデザインを (わざと) たくさん作らないから」と言っていました。正に、それが1つの価値だからです。

ですから、定番を作らない、というより、作れない、のです。
「ヴィトンだから」というミーハー・ユーザーは別にして、定番デザインをきっちり守って、デザイン変更を極力長期化させているメーカーは「デザインの目新しさ」だけに頼らないで済むだけの品質に自信があるからです。この傾向はアパレルよりバッグなどの小物メーカーに多いのも事実ですが。

一方、家電の場合は、基本機能があり、デザインはその付加機能です。
エアコンなら「あったかく、涼しくを経済的に」、テレビなら「現場感の再生」という、その商品でなければ実現できない機能があって、その上でデザインがあります。しかも、家電のようなものの場合は、機能的な観点でのデザインと感性的な観点でのデザインという2つの側面がありますので、話がややこしくなります。

機能的デザインとは、最近ヒットしている「平面ブラウン管」や、奥行きの狭さ、リモコンのボタンの大きさや数など、「使い勝手」をサポートするためのデザインです。感性的デザインは、使わないときでも邪魔にならないインテリア性などです。
従って、極端に言えば家電製品の場合は「定番にしようがしまいがどうでも良い」とメーカー (のデザインナー以外) が考えている、ということです。

記事のテーマのプリペイドカードはどちらかと言えば後者に当たります。
が、取り出しやすさ、認識のしやすさ、となると、上記いずれのカテゴリーにも入らなくなってしまいます。

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>大きかった人気が落ちたときの在庫処分に困ったり、その様子がほかの商品やブ
>ランドのイメージ悪化につながるよりは、消費者を耐えず不満にしておいて新商
>品で購買意欲を刺激したいからなんでしょうね。

えっと、バブルの頃ならそうでしょうが、今のメーカーにはそんな余裕はないでしょう (笑)。人気が上がった頃のことを考えるより前に、人気を上げることの方が優先します。ただ、デザインに時系列の記号がついてしまうようなファッションの場合は、「売れ残り」という問題は大きいです。

>あと、定番が強い構造にする
>と、デザイナーがあれこれ試せなかったり職にあぶれたりするのでは。

これは正しいです (笑)
そうでなくても、最近はデザイナーに対する環境は厳しくなっていますが。

>すよりは、わかっていながらいまいち系の品も製造して、人気商品を引き立てた
>り、プレミアム効果をつけているのでは、と思っています。

プレミアム効果は別にして、引き立て役という効果はあります。
口紅などの化粧品が典型ですが、売れる色を3色しか陳列していない場合と、売れない色7色を含めて10色を陳列する場合とで、その3色の売上が変わるのです。
ただ、これについても、売り場面積が限られてきますので、最近のメーカーは「そんな余裕がない」というのが本音でしょう。

>この辺はブランド戦略のほかに、産業全体の利益をねらって製造ラインのほうで
>そういう公式ができあがっているんじゃないか、と思うのですが、いかがでしょ

のりこさんの観察は正しいと思います。
その「供給側の論理」で市場が動く時代は終わっていますから、その公式が機能するか、となると、「否」が正解となると思いますが。

>技術的に
>可能な限り完璧な機能の組み合わせで、しかも長持ち、というのを作ったら、日
>本は強いのに(車とか)、国内ではわざと商品サイクルを短くしてますよね。

クルマだってそうです (笑)

>ここでは玉子かニワトリかの議論になっちゃいますし、

そろそろ、生活者も「目新しさ」で踊る時代ではなくなってきていますから、「玉子かニワトリかの議論」にはならなくて済みそうです。特に、今の10代は「新製品」だけでは完全に踊らなくなっています (別な流行りには踊りますが (笑))。

今回の不況は、そういう意味でも、今までの垢を出す時期なのではないかと考えています。
生活者の成熟度が上がれば上がるほど、ヨーロッパ系の商品開発 (つまり、良いものはそのまま残しつつ、場合によってはデザインも定番にして) になると思いますし、日本の生活者も確実に成熟してきています (「完全」ではありません。念のため (笑))

>しょ」のデザインの犠牲だけではなく、産業の利益を求める販売戦略の結果、と
>いうことになりました。

大事なのは、そういった価値観を持つ生活者をメーカーは無視できなくなってしまった、ということです。正確には「無視できない状態になっている (メーカーが気がつこうがつくまいが)」という表現ですが。

だから、カードのデザインにしても、「収集家による利益」が大事なのか「機能としてのデザイン」の追求が大事なのか、の2者択一の議論ではなく、「機能としてのデザイン」を忘れてはいけない、という平衡感覚、あるいは、クラスタ感覚なんだと思います。

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>れますか。森さんがシストラットのサイトで気をつけているように、見易さ(使
>い勝手)が先行すべきなのに、

この点について、ここで言及するのは勇気がいりますが (笑)、まったく同感です。
1つには、クライアントが納得しない、ということもあるのでしょう。つまり、幾ら見やすくて早くても、金を出すところが「こんな地味なのはイヤ」と言ってしまえば、デザイナーも反抗できない。

ウェブデザインをする会社もプレゼンはノートパソコンでやったりするから、アクセススピードなんて関係ないし、見栄えがよい方が受けがよいので、どんどん余計なものが増える。

シストラットのページデザインが良いかどうかは別にして (ある HP 評価グループに評価して貰ったら、デザインは10点満点で6点、表示速度は3点という厳しい評価でした (笑))、ベースとなるページは全部私が作り、サムタイムライトをデザインしたデザイナーにチェックして貰いましたから、そういう問題はありません。

>あ、ベストメ
>ルマガに一票入れましたから。一番になっても、忙しくても、「私はこう見る」
>やめないでくださいね。

ありがとうございます。
大丈夫です。
正月のように、ときどきお休みを頂くことはあるかも知れませんが、ずっと続けていきますので、ご安心下さい。

それぞれの方々へのご意見もお待ちしています。

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