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最適価格の調査手法
PSM分析(Price Sensitivity Measurement)

PSM分析とは…最適な価格設定ポイントを見つける分析手法

たばこや鉄道運賃のように価格が決まっている場合を別にすれば、価格設定は極めて繊細で難しい問題です。一歩間違えれば、せっかくヒットするかも知れない商品がお蔵入りになりますし、売れば売るほど赤字になってしまうことだってあり得ないわけではありません。

「良い商品なのだから、できるだけ高く売りたい」のは企業の偽らざる気持ちですが、一方で、生活者は「自分の納得する価格で買いたい」と考えています。

PSM分析はそのジレンマを解決する1つの解答です。
シストラットはPSM分析を日本で事実上最初に導入した企業です。
コンジョイント分析と並んで、PSM分析に関しては日本でもトップクラスの臨床例を持ち、双方ともに私たちの代表がシストラットを興す以前の1985年から28年間の経験とノウハウの蓄積があります。

従来の価格設定に関する調査のやり方

PSM分析と呼ばれるこの手法は、従来の価格設定の調査とは一線を課しています。
それまでは、

「あなたは、この商品が350円だとしたら、どれくらい買いたいと思いますか」

というような質問をし、解答欄には以下のような文言を入れておきます。

1.かなり買いたい 2.やや買いたい・・・

あるいは

1.毎日使いたい 2.時々使いたい 3.たまに使いたい・・・

といった具合です。

逆のアプローチをする場合もあります。
例えば、

あなたは、この商品が幾らなら買いたいと思いますか。下の中からもっともあなたの気持ちに近いものに <1つだけ> ○をつけてください。
     250円 300円 350円・・・

しかし、結論からいうと、こういった単純な質問形式では、うまく行かないことが多いのです。実際に商品を市場に投入してみると、価格が高すぎて生活者が敬遠したり、安すぎて質の悪い商品だと思われたり、といったことが往々にして生じます。

PSM分析でわかる4つの価格

PSM分析では、商品の価格が以下の4種類見つかります。

●PSM最高価格
●PSM最低品質保証価格
●PSM妥協価格
●PSM理想価格

簡単に説明しましょう。

●最も利益額が高いPSM最高価格

PSM分析での最高価格とは「これ以上高く値付けをすると、誰も買ってくれなくなる」という価格ポイントです。
高級品やプロ用といった位置づけの商品の場合は、PSM最高価格を参考にすると最適な結果が得られます。また、従来と異なったカテゴリーや付加価値のついた商品の場合も、PSM最高価格にすると最も効率的な価格設定ができるのです。

PSM最高価格は価格自体が「今までのものと違いますよ」という主張をしてくれる割に、ちょっと頑張れば手を出せるという価格になることが多いからです。

例えば、カゴメ・キャロット・ジュースや日清ラ王はPSM最高価格を適用すると最適な価格付けができる商品です。

●低価格商品に最適なPSM最低品質保証価格

PSM最低品質保証価格とは「これ以上安くすると生活者が『品質が悪いのではないか』と疑い始める」価格ポイントです。

PSM最低品質保証価格は普及価格の商品の値付けに有効であるだけでなく、スーパーやコンビニでの特売にもこの価格が参考になります。

ただし、PSM最低品質保証価格だと、販売数量は増えますが利益は大きくなりません。
従って、数量が増えれば増えるほど固定費の比率が急激に下がるたばこやオーディオ・テープといった装置産業の低価格帯商品の価格付けに最適と言えます。

●「このくらいならしょうがない」PSM妥協価格

1,000 円のワイシャツは誰が見ても安いと思います。
でも、1,000 円のポケット・ティッシュは誰が見ても高いと思うでしょう。

人間には「このジャンルの商品ならこれくらい(の値段)」という心理的な価格基準があります。
PSM分析では、これを妥協価格と呼んでいます。
トップシェアの商品の価格と限りなく近い線に収まるのが普通です。

●こうあって欲しいPSM理想価格

本当の意味で生活者が望む理想的な価格ポイントです。
大半の場合、PSM理想価格は妥協価格より若干安いところに落ち着きます。
PSM理想価格に設定すれば、販売数量と利益額が最も良い形でバランスが取れるのが特徴です。
ただ、現実的には製造コストの問題で、PSM理想価格に設定することが難しい場合が多いのが悩みです。

PSM分析で商品の状態を知る

上記4つの価格は基本のアウトプットですが、PSM分析を実際にやってみると様々な現象が出現します。

例えば、PSM理想価格の方がPSM妥協価格より高くなることがあります。これはつまり「もっと高い金を払っても良い」と生活者がつぶやいているということなのです。

一見、不思議な現象です。同じものなら安ければ安いほど良い、というのが生活者心理なのですから。実のところ、この現象はケチャップや醤油などの「特売品」と呼ばれる商品ジャンルに多く見られます。口の悪い輩は「これらの商品の定番の棚はショールームだ」等と揶揄しているような商品群です。

「もっとお金を払っても良い」ということは、ワンランク上の付加価値の商品が欲しいという生活者のサインなのです。
だから、丸大豆醤油がヒットし、ネスカフェのインスタント・エスプレッソがヒットしたのです。逆にいえば、こういうサインがないと上級ランクの商品はヒットしないとも言えます。

PSM分析の技法概要

PSM分析の手法そのものは極めて簡単です。
たった4つの質問をするだけで良いのです。

●あなたは、この商品が幾らくらいから『高い』と感じ始めますか
●あなたは、この商品が幾らくらいから『安い』と感じ始めますか
●あなたは、この商品が幾らくらいから『高すぎて買えない』と感じ始めますか
●あなたは、この商品が幾らくらいから『安すぎて品質に問題があるのではないか』と感じ始めますか

これで終わりです。

PSM分析の素晴らしい点は、この4つの質問だけですべて終わってしまうということです。わざわざPSM分析用の調査を企画し、高い金を払う必要がありません。従来実施している調査にちょっと潜り込ませるだけ。選択肢の価格のスペースを入れても調査票の高々1ページを占有するだけです。

分析も簡単です。それぞれの価格について累計のパーセンテージを計算し、図にあるようにグラフ化します。グラフの反転をする必要がありますが、大した作業ではありません。

すると、それぞれの交点が4つできるので、中学校のときに勉強した連立方程式で交点を計算するだけです。

図表1

商品開発では、コンセプト段階での価格とモックアップ作成後の価格などの段階についてのPSM最高価格を比較することで、それぞれの作業の良し悪しがわかります。

PSM分析の応用

PSM分析の基本はいままで解説したように、「価格設定」のための手法です。
しかし、この手法の面白いところは

連続した数字ならば、どんなものでも応用できる

点にあります。 例えば、不動産での駅までの所用時間。
普通は、駅から近ければ近いほど良い、と思われています。
しかし、

「駅から何分くらいから、遠いと感じ始めるか」は当然として、
「何分くらいから、駅に近すぎて『騒音』『防犯』などが気になり始めるか」

を聞くことによって、「駅と自宅の最適な距離」を探ることができます。

その他の応用例としては

●食品の調理の時間
●ショッピングセンターの店の数
●デジカメの解像度
●スマートフォンの液晶画面サイズ

など、いくらでもPSM分析が活躍できる場があるのです。

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