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最適価格の調査手法
PSM分析(Price Sensitivity Measurement)
たばこや週刊誌のように、大体の市場価格が決まっている場合を別にすれば、価格決定は極めて繊細で難しい問題です。一歩間違えれば、せっかくヒットするかも知れない商品がお蔵入りになりますし、一方で、売れば売るほど赤字になってしまうことだってあり得ないわけではありません。
「良い商品なのだから、できるだけ高く売りたい」のは企業の偽らざる気持ちですが、一方で、生活者は「自分の納得する価格で買いたい」と考えています。
PSM分析はそのジレンマを解決する1つの解答です。シストラットはコンジョイント分析と並んで、PSM分析に関しては日本でもトップクラスの臨床例を持つ企業であり、双方ともに私たちの代表がシストラットを興す以前の1985年から24年間の経験とノウハウの蓄積があります。
PSM分析と呼ばれるこの手法は、従来の価格感の調査とは一線を課しています。 それまでは、
| 「あなたは、この商品が350円だとしたら、どれくらい買いたいと思いますか」 |
というような質問をし、解答欄には以下のような文言を入れておきます。
あるいは
| 1.毎日使いたい 2.時々使いたい 3.たまに使いたい・・・ |
といった具合です。
逆のアプローチをする場合もあります。 例えば、
| あなたは、この商品が幾らなら買いたいと思いますか。下の中からもっともあなたの気持ちに近いものに
<1つだけ> ○をつけてください。 |
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250円 300円 350円・・・ |
しかし、結論からいうと、こういった単純な質問形式では、うまく行かないことが多いのです。実際に市場に投入してみると、その価格が高すぎて生活者が敬遠したり、安すぎて質の悪い商品だと思われたり、といったことが往々にして生じます。

PSM分析では、商品の価格が以下の4種類見つかります。
最高価格
最低品質保証価格
妥協価格
理想価格
以下に簡単に説明しましょう。
最も利益額が高い最高価格
この価格は、逆にいえば「これ以上高く値付けをすると、誰も買ってくれなくなる」という価格ポイントです。
高級品やプロ用などといった位置づけの商品の場合は、この価格を参考にすると最適な結果が得られます。また、従来と異なったカテゴリーや付加価値のついた商品の場合も、プレミアム価格にすると最も効率的な価格設定ができるのです。
価格自体が「今までのものと違いますよ」という主張をしてくれる割に、ちょっと頑張れば手を出せるという価格になることが多いからです。
例えば、カゴメ・キャロット・ジュースや日清ラ王などはプレミアム価格を適用すると最適な価格付けができる商品です。
低価格商品に最適な最低品質保証価格
一言でいえば「これ以上安くすると生活者が『品質が悪いのではないか』と疑い始める」価格ポイントです。
普及価格の商品の場合の値付けに有効であるだけでなく、スーパーなどの特売の場合にもこの価格が参考になります。
この価格だと、販売数量は増えますが利益は大きくなりません。 従って、数量が増えれば増えるほど固定費の比率が急激に下がるたばこやオーディオ・テープといった装置産業の低価格帯商品の価格付けに最適と言えます。
「このくらいならしょうがない」妥協価格
1,000 円のワイシャツは誰が見ても安いと思います。 でも、1,000 円のポケット・ティッシュは誰が見ても高いと思うでしょう。
人間には「このジャンルの商品ならこれくらい(の値段)」という心理的な価格基準があります。 PSM分析では、これを妥協価格と呼んでいます。 トップシェアの商品の価格と限りなく近い線に収まるのが普通です。
こうあって欲しい理想価格
本当の意味で生活者が望む理想的な価格ポイントです。
大半の場合、妥協価格より若干安いところに落ち着きます。 この価格に設定すれば、販売数量と利益額が最も良い形でバランスが取れるのが特徴です。
ただ、現実的には製造コストの問題で、理想価格に設定することが難しい場合が多いのが悩みです。

上記4つの価格は基本のアウトプットですが、PSM分析を実際にやってみると様々な現象が出現します。
例えば、理想価格の方が妥協価格より高くなることがあります。これはつまり「もっと高い金を払っても良い」と生活者がつぶやいているということなのです。
一見、不思議な現象です。同じものなら安ければ安いほど良い、というのが生活者心理なのですから。実はこれは、ケチャップや醤油などの「特売品」と呼ばれる商品ジャンルに多く見られます。口の悪い輩は「これらの商品の定番の棚はショールームだ」等と発言しているような商品群です。
「もっとお金を払っても良い」ということは、ワンランク上の付加価値の商品が欲しい、という生活者のサインなのです。 従って、丸大豆醤油がヒットし、ネスカフェのインスタント・エスプレッソがヒットしたのです。逆にいえば、こういうサインがないと上級ランクの商品はヒットしないとも言えます。

PSMの手法そのものは極めて簡単です。 たった4つの質問をするだけで良いのです。
あなたは、この商品が幾らくらいから『高い』と感じ始めますか |
あなたは、この商品が幾らくらいから『安い』と感じ始めますか |
あなたは、この商品が幾らくらいから『高すぎて買えない』と感じ始めますか |
あなたは、この商品が幾らくらいから『安すぎて品質に問題があるのではないか』と感じ始めますか |
これで終わりです。
PSM分析の素晴らしい点は、この4つの質問だけですべて終わってしまうということです。わざわざPSM用の調査を企画し、高い金を払う必要がありません。従来実施している調査にちょっと潜り込ませるだけ。選択肢の価格のスペースを入れても、調査票の高々1ページを占有するだけです。
分析も簡単です。それぞれの価格について累計のパーセンテージを計算し、図にあるようにグラフ化します。グラフの反転をする必要がありますが、大した作業ではありません。
すると、それぞれの交点が4つできるので、中学校のときに勉強した連立方程式で交点を計算するだけです。
商品開発では、コンセプト段階での価格とモックアップ作成後の価格などの段階についての(最高)価格を比較することで、それぞれの作業の良し悪しがわかります。
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