参考 : 本音が出にくいテーマもある

その極端な例はペット関係のグループインタビューです。
SEX 等の極めてプライベートなテーマのグループインタビューはなかなか本音が出ないので、グループインタビューに向かない、というのは誰もが知っている常識です。でも、実はペットがテーマの場合もその傾向はかなり強くなります。

例えば、普通に議事を進行し、その飼い主がペットについてどう思っているかをテーマに話してもらうと、「目の中に入れても痛くないほどかわいい」「主人や子供よりかわいい。だって、私が沈んでいる時など、子供はTVゲームで遊んで、無視しているけれど、うちのワンちゃんは涙をぺろぺろなめて励ましてくれるし」というような発言が相次いで出現します。

これをもって、「現在のペットは人間以上のつきあいをして、大事にしている」という結論を出すと、とんでもない目に遭います。グループインタビューの後半で、例えば、「グルメのペットフード」のようなCMを見てもらうと、一気に不満が吹き出ます。

「たかが犬のために、なんでこんなに人間より良い食べ物をあげなくちゃいけないの?」

という不満です。たった1時間前に「子供よりかわいい」と言っていた人ほど、激怒に近い反応を示すのです。

そう。グループインタビューの前半は実は「私は、卑しい動物にも愛情がある、いい人なんです」合戦をやっているだけなのです。
発言をきちっと追っていったり、突っ込んだ質問をすると、ペットは単なる「動くぬいぐるみ」「反抗ばかりする子供が2〜3才の時に戻る従順な存在を取り戻す対象」としか考えていないことも多々あることが分かります。

「うるさい」対象者の意見しか聞かずに良し、とする「グループダイナミクス」思想では、解明できないポイントです。また、この傾向はペットだけではありません。様々な商品に、こういう傾向があることを忘れてはならないのです。

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