自分を見つめ、敵を知る

クープマンの目標値 (要約)

市場を見きわめるコツ

「市場」の肥握を誤ると、その後の戦略もすべて狂ってしまう。

では、市場を見極めるには何に注目したらいいのだろうか?

一番の目安となるのがマーケットシェアである。

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ただ最近では、シェア至上主義の企業戦略に疑問が投げかけられている。市場そのものの規模が小さい場合、そのなかで圧倒的シェアを誇っても多額の利益は見込めないのである。

しかし、確かにマーケットシェアは、市場を見るうえで非常に重要な指針だ。シェアは、企業のポジションを把握する基準であるうえに、未来の市場動向を反映している。言いかえれば、シェアに注目することによって、現在および将来にとるべき戦略が見えてくる。

では、具体的にシェアにどんな意味があるのかを、次に説明してみよう。

シェアのサインを見逃すな−クープマンの目標値

クープマンは、シェアが発するサインに注目し、シェアと市場推移の関連性を解析した。そしてシェアを見きわめるポイントを6つに分類した(ここでは、主な5つを紹介している)。

図表1

(1)73.9%……独占的市場シェア

要するに独占シェアである。このパーセンテージを取れば、短期的に見ればトップが引っ繰り返る可能性はほとんどあり得ない。独占禁止法の問題もあり、1社や1ブランドで独占シェアを占めている企業は少ないが、

日本たばこ産業 77.6% 紙巻きたばこ市場
富士写真フィルム 67.4% カラーフィルム市場
ソニー 68.3% 家庭用ゲーム機市場
サントリー 62.3% ウィスキー市場

などが実例として挙げられる。

(2)41.7%……相対的安定シェア

市場で首位のブランド、ないし企業41.7%のシェアを占めている場合、トップの地位は安定しており、不測の事態に見舞われない限り、逆転されることはない。この数字はシェア獲得の最終日標として掲げられることが多い。またこのような市場では、特別に有利な条件がない限り、新規参入しても成功する確率はきわめて少ない。このシェアを獲得している企業は

ソニー 45.0% ビデオカメラ市場
エプソン 47.0% インクジェットプリンタ市場
日清食品 42.6% 即席めん市場
コカコーラ 43.2% 缶コーヒー市場
ライオン 45.2% 歯磨き市場
ヤマト運輸 46.3% 宅配便市場

などが挙げられる。

図表2

(3)26.1%……市場的影響シェア

この程度の数字で1位を占めているブランドや企業は多い。しかし、いつ下位に逆転されるか分からない不安定な状態のトップだ。

同時にこの数字は、2位であっても市場に影響を与える水準値として、相対的安定シェアとともに目標にされている。また、不思議なことに、この水準のシェアをとっていて3位以下というケースはない。

(一位の場合)

松下通信工業 23.9% 携帯電話端末市場
富士通 28.1% 汎用コンピュータ市場
松下電器産業 26.0% 電子レンジ市場
ミズノ 29.1% ゴルフクラブ市場

(二位の場合)

TDK 26.0% ミニディスク市場
三洋電機 29.0% リチウムイオン電池市場
日本通運 23.0% 腕時計市場
ミノルタ 23.6% 一眼レフカメラ市場

(4)10.9%……市場的認知シェア

市場においてようやく存在が確認される水準。
つまり生活者が「こういうブランド(企業)もある」と思いだしてくれるレベルである。これ以下では、生活者の記憶にも残りにくい。

NEC 12.0% 携帯電話端末市場
東芝 11.0% ルームエアコン市場
日本ビクター 11.0% ビデオテープ市場
東洋ゴム工業 10.9% タイヤチューブ市場
サンヨー食品 10.9% 即席めん市場

(5)6.8%……市場的存在シェア

市場において、ようやく存在を許されるシェア。これ以下のシェアでは、今後よほどの成長が見込まれない限り、市場から撤退する方が賢明である。この水準では、生活者が、他人に言われてやっと思い出す程度の知名度しかない。

『ランチェスター戦略』を著した田岡氏によると、1960年代にGE(ゼネラル・エレクトロニクス)がSBU(戦略ビジネスユニット=事業本部制)を採用した際、自社製品のシェアが6.8%以下で、競合企業に40%以上のシェアを握られている商品については市場から撤退したという。

京セラ 7.1% 携帯電話端末市場
オーツタイヤ 6.6% タイヤチューブ市場
ポッカコーポレーション 6.6% 缶コーヒー市場
明治製菓 6.2% スナック菓子市場
コーセー 6.6% 化粧品市場

「クープマンの目標値」を知らなくても、長年の経験によって、同じようなセオリーを培っている企業もある。おおむね成功している企業のセオリーは、「クープマンの目標値」と不思議なほど一致している場合が多いのである。しかし、大多数の企業は、マーケティング戦略の具体的な判断指標を持たずに苦労しているようだ。また、シェアに見合わぬ戦略を実行しているために低迷している企業も多い。そんな企業には、ぜひ、この明解な法則を参考にしてほしいと思う。

【注】このパートは「シンプルマーケティング」(翔泳社)から抜粋しました。

【注2】データ出典 : 「市場占有率99」(日経産業新聞編)